内視鏡検査
その他のご案内2021.08.03
近年、健康診断で内視鏡検査が行われることが多くなってきました。当クリニックでも、胃内視鏡検査、大腸内視鏡検査をお受けになる方は年々増えています。シンガポールにお住まいの方で、健康診断を受けていない方、健康診断は受けていても胃の検査は受けていない方、胃の検査は胃透視検査(胃バリウム検査)を受けている方は、自覚症状が無くても一度は内視鏡検査で健康診断を受けましょう。また、気になる症状のある場合は、外来でご相談ください。
●胃内視鏡検査(上部消化管内視鏡検査)
胃内視鏡検査では、口または鼻から細い管状のファイバースコープ(内視鏡)を挿入し、食道、胃、十二指腸の様子をモニターに映し出して調べます。必要に応じて、粘膜の一部を採取して調べる検査(生検)や、胃炎や胃がんに関係が深いとされるヘリコバクターピロリ菌の有無を調べる検査が加わることがあります。当クリニックでは経口でも経鼻でも内視鏡検査が可能です。鎮静剤のご希望については事前にお申し出ください。
<胃内視鏡検査で見つかる主な病気>
食道: 逆流性食道炎、バレット食道、食道裂孔ヘルニア、食道がん など
胃: 胃炎(急性胃炎、慢性胃炎、萎縮性胃炎)、ピロリ菌感染、胃潰瘍、胃ポリープ、胃がん、胃悪性リンパ腫、胃アニサキス症 など
十二指腸: 十二指腸潰瘍、十二指腸がん など
<胃内視鏡検査の流れ>
検査の前日は夜10時以降、絶食が必要です。
検査当日は、検査前の前に問診、血圧測定、咽頭麻酔などの処置を行います。胃内視鏡検査自体は10分少々で終了しますが、検査終了後の休憩・説明等を含め、当日の所要時間は1~2時間です。
検査後は安静にして激しい運動は避けてください。検査後の食事は、喉の麻酔など検査に使用した薬剤が完全に抜けてから召し上がってください。生検病理検査を行った場合は、検査後3日間は激しい運動、お酒、渡航は避けましょう。
●大腸内視鏡検査
肛門からファイバースコープを挿入して、直腸、S字結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸、盲腸の状態をモニター画面に映し出して観察し、病変を調べます。 一般的には、鎮静剤を使用しながら検査を行います。必要に応じて、粘膜の一部を採取して顕微鏡下で調べる検査(生検)などを行うことがあります。
近年、日本人に大腸がんが増えています。大腸がんは他のがんと同様に初めのうちは自覚症状が現れない場合が多いため、定期的に検診を受け、早期に発見し治療することが勧められています。大腸内視鏡検査を受けたことのない中高年の方は、シンガポール生活中、健康診断の際などに一度は大腸内視鏡を受けましょう。また、気になる症状のある場合は、放置せず、外来でご相談ください。次に該当する方は、特に積極的に受診しましょう。
・便通異常がある(下痢傾向あるいは便秘傾向になった、便秘と下痢を繰り返す、便が以前に比べ細くなった 等)
・血便があった
・便潜血検査で結果が陽性だった
・腹痛、腹部膨満感がある
・切除していない大腸ポリープがある
・がん(特に大腸がん)にかかった血縁者がいる
<大腸内視鏡検査で見つかる主な病気>
大腸ポリープ、大腸がん、大腸憩室症、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、虚血性腸炎、出血性腸炎、悪性リンパ腫、カルチノイド、アメーバ赤痢 など
<大腸内視鏡検査の流れ>
大腸内視鏡検査は、便が大腸に残っていると検査の妨げとなるため、前日夜9時以降の絶食と下剤の服用、及び当日の水薬服用により、事前の十分な排泄が必要です。下剤受け取りのため、事前に一度ご来院頂きます。
検査当日は、ご自分で車を運転してのご来院は避けてください。
検査の前に、問診、血圧測定などを行います。大腸内視鏡検査自体は20~30分程度で終了しますが、検査終了後の休憩・説明等を含め、検査当日の所要時間は2時間前後です。
検査後は1~2時間経ってから飲み物や食べ物を召し上がるようにしてください。検査後は安静にして激しい運動は避けましょう。検査の際に処置や生検病理検査を行った場合は、検査後3日間は激しい運動(ジョギング、ゴルフ等)、お酒、渡航は避けてください。
≪鎮静剤について≫
鎮静剤を使用の場合は、投与後24時間は危険な機械の操作や危険な場所での作業、車/自転車の運転等、完全な精神的緊張・覚醒を必要する事項を行わないでください。
鎮静剤のご希望については事前にお申し出頂き、不明点・詳細は医師にご相談ください。
≪近年の内視鏡の技術≫
当クリニックの使用する日本の内視鏡装置は以下の性能を備えています。
◇極細径内視鏡
従来の一般的な胃内視鏡は管の外径が8~9mmですが、極細径内視鏡は5~6mmです。鉛筆程の細さの内視鏡なので、患者さんの状態にあわせて口からも、鼻からもスムーズな挿入が可能となり、患者さんの負担の軽減に役立っています。経鼻内視鏡は、内視鏡が舌根部に触れないため経口内視鏡に比べて嘔吐反射が少なく、また、径が細いため、個人差はありますが挿入もあまり気にならないことが多いようです。
◇ハイビジョン内視鏡
画素数が大幅に増大した高解像度モニターと、ハイビジョン対応の高画質CCDと組み合わせて、飛躍的に鮮明な画像が得られるようになりました。以前の方式では発見が困難であったかもしれない微細な病変も、観察しやすくなっています。
◇画像強調内視鏡
検査中に特殊な光に切り替えることで以前は発見することが困難だった小さな病変をより観察しやすくする機能が備わった内視鏡が登場しています。
◇硬度可変内視鏡
大腸内視鏡検査は、曲がりくねった長い大腸の深部にやわらかい内視鏡を挿入しなければならず、医師にとっても熟練した技術を要する検査ですが、大腸の湾曲や形状に合わせて、検査中に簡単な操作で内視鏡の硬さを柔らかくしたり硬くしたり変化させて患者さんの負担を少なくすることが可能となりました。